高専1年生で学習した「基礎数学」の復習である.全ての内容を書いているわけではない.
記号 | 意味 |
---|---|
\(\coloneqq\) | 左辺を右辺の通りにおく |
\(\eqqcolon\) | 右辺を左辺の通りにおく |
数と式 #
商と余りの関係 #
整式 \(A\) を整式 \(B (\ne 0)\) で割ったときの商を \(Q\)、余りを \(R\) とすると
$$ A = BQ + R $$が成り立つ.\(R\) の次数は \(B\) の次数より小さい.
組立除法 #
整式を \(x - p\) で割ったときの商と余りを素早く求める.
3次の場合について考える.
\(ax^3 + bx^2 + cx + d\) を \(x - p\) で割ったときの商を \(lx^2 + mx + n\)、余りを \(R\) とする.
$$ \begin{align*} ax^3 + bx^2 + cx + d &= (lx^2 + mx + n)(x - p) + R \\ &= lx^3 + (m - pl)x^2 + (n - pm)x + R - pn \end{align*} $$この等式が恒等的に成り立つためには各次数の項の係数が等しくなければならない.このことより
$$ \left\{\begin{align*} l &= a \\ m &= b + pl \\ n &= c + pm \\ R &= d + pn \end{align*}\right. $$これに従って表を作る.
$$ \begin{array}{} & \overset{\hphantom{\displaystyle pm}}{a} & \overset{\hphantom{\displaystyle pm}}{b} & \overset{\hphantom{\displaystyle pm}}{c} & d \\ \!\!\!\begin{array}{c|}\overset{\hphantom{\displaystyle pm}}{p}\end{array}\!\!\! & & pl & pm & pn \\ \hline & l & m & n & \!\!\!\begin{array}{|c}\overset{\hphantom{\displaystyle pm}}{R} \\ \hline\end{array} \!\!\! \\ \end{array} $$\(l, pl, m, pm, n, pn, R\) と \(\downarrow \,\, \nearrow \,\, \downarrow \,\, \nearrow \, \cdots \, \downarrow\) の流れで値を記入する.\(\downarrow\) は足し算、\(\nearrow\) は \(p\) 倍の操作に相当する.
剰余の定理 #
整式 \(P(x)\) を1次式 \(x - \alpha\) で割ったときの余りは \(P(\alpha)\) に等しい.
\(P(x)\) を \(x-\alpha\) で割ったときの商を \(Q(x)\)、余りを \(R\) とすれば
$$ P(x) = (x - \alpha) Q(x) + R $$が成り立つ.\(x\) に \(\alpha\) を代入すると
$$ P(\alpha) = R $$因数定理 #
整式 \(P(x)\) について \(P(\alpha) = 0\) ならば \(P(x)\) は \(x - \alpha\) を因数に持つ.
\(P(x)\) の係数が全て整数の場合は、\(\alpha\) は \(P(x)\) の定数項の約数の中から探すと良い.
$$ \newcommand\ntsize[1]{{\footnotesize #1}} \begin{align*} P(x) &= 4x^3 - 13x - 6 &&\ntsize{\textsf{定数項 }} {-6} \ntsize{\textsf{ の約数}} : \pm\{1, 2, 3, 6\} \\ &= (x - 2)(4x^2 + 8x + 3) &&\because \, P(2) = 0 \\ &= (x - 2)(2x + 1)(2x + 3) \end{align*} $$\(P(x) = 4x^3 - 13x - 6\) を因数分解せよ.
GCDとLCM #
いくつかの整式に共通な約数を公約数という.公約数のうち次数が最大のものを最大公約数 (GCD ; greatest common divisor ; GCM ; greatest common measure) という.
いくつかの整式に共通な倍数を公倍数という.公倍数のうち次数が最小のものを最小公倍数 (LCM ; least common multiple) という.
実数 #
2つの整数 \(m, n \; (n \ne 0)\) を用いて \(\displaystyle\frac{m}{n}\) で表される数を有理数、そうでない数を無理数という.
小数第何位かで終わる小数を有限小数、そうでない小数を無限小数という.無限小数のうち、いくつかの数字の配列が繰り返されるものを循環小数という.循環しない無限小数が無理数である.
背理法 #
ある事柄を証明するために、その事柄が正しくないと仮定すると矛盾が起こることを示す方法である.
正整数 \(m,n\) に対し \(mn\) が偶数であれば、\(m\) または \(n\) は偶数となることを背理法により示せ.
\(m\) も \(n\) も偶数ではないと仮定すると、ともに奇数となるので、非負整数 \(k, k^\prime\) を用いて
$$ m = 2k + 1 , \quad n = 2k^\prime + 1 $$と表す.このとき
$$ mn = (2k+1)(2k^\prime + 1) = 4kk^\prime + 2k + 2k^\prime + 1 = 2(2kk^\prime + k + k^\prime) + 1 $$\(mn\) を \(2\) で割ると余りが \(1\) となり、\(mn\) は奇数となるので矛盾が起こる.したがって \(m\) または \(n\) は偶数となる.
\(\sqrt2\) は無理数であることを背理法により示せ.
\(\sqrt2\) は有理数であると仮定し、互いに素な正整数 \(m, n\) を用いて \(\displaystyle \sqrt2 = \frac{m}{n}\) とおく.
\(m = \sqrt2 n \; \xRightarrow{} \; m^2 = 2n^2\) より \(m^2\) は偶数となり、\(m\) も偶数となる.
そこで正整数 \(k\) を用いて \(m = 2k\) とおくと \(m^2 = 2n^2 \; \xRightarrow{} \; 4k^2 = 2n^2 \; \xRightarrow{} \; n^2 = 2k^2\) より \(n^2\) は偶数となり、\(n\) も偶数となる.
よって \(m,n\) は \(2\) を公約数にもち、互いに素であることに矛盾する.したがって \(\sqrt2\) は無理数である.
方程式 #
2次方程式の解の公式 #
\(ax^2 + bx + c = 0 \; (a \ne 0)\) の解は
$$ x = \frac{-b\pm\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a} $$判別式 #
判別式 \(D = b^2 - 4ac\) について
$$ \newcommand\ntsize[1]{{\footnotesize #1}} D \begin{cases} > 0 \\ = 0 \\ < 0 \end{cases} \; \xLeftrightarrow{} \; \begin{cases} \ntsize{\textsf{異なる2つの実数解を持つ}} \\ \ntsize{\textsf{2重解を持つ}} \\ \ntsize{\textsf{異なる2つの虚数解を持つ}} \end{cases} $$解と係数の関係 #
\(ax^2 + bx + c = 0 \; (a \ne 0)\) の2つの解を \(\displaystyle \alpha = \frac{-b+\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}, \, \beta = \frac{-b-\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}\) とおくと
$$ \begin{align*} \alpha + \beta &= \frac{-b+\sqrt{b^2 - 4ac} -b-\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a} = - \frac{b}{a} \\ \alpha \beta &= \frac{(-b+\sqrt{b^2 - 4ac})(-b-\sqrt{b^2 - 4ac})}{4a^2} = \frac{c}{a} \end{align*} $$どの2つの変数を交換しても変わらない式を対称式といい、特に \(\alpha + \beta, \, \alpha\beta\) を基本対称式という.
次の2次方程式の2つの解を \(\alpha, \beta\) とするとき、\(\alpha^2 + \beta^2, \, \alpha^3 + \beta^3\) の値を求めよ.
$$ 3x^2 + 4x + 5 = 0 $$
解と係数の関係より \(\displaystyle \alpha + \beta = - \frac{4}{3}, \, \alpha\beta = \frac{5}{3}\) が成り立つ.よって
$$ \begin{align*} \alpha^2 + \beta^2 &= (\alpha + \beta)^2 - 2\alpha\beta = \left( - \frac{4}{3} \right)^2 - 2 \cdot \frac{5}{3} = - \frac{14}{9} \\ \alpha^3 + \beta^3 &= (\alpha + \beta)^3 - 3\alpha\beta(\alpha + \beta) = \left( - \frac{4}{3} \right)^3 - 3 \cdot \frac{5}{3}\left( - \frac{4}{3} \right) = \frac{116}{27} \end{align*} $$この関係を用いると、次のように因数分解できる.
$$ \begin{align*} ax^2 + bx + c &= a \left\{ x^2 - \left( - \frac{b}{a} \right)x + \frac{c}{a} \right\} \\ &= a \{ x^2 - (\alpha + \beta)x + \alpha\beta \} \\ &= a (x - \alpha)(x - \beta) \end{align*} $$不等式 #
相加相乗平均 #
\(a,b \ge 0\) に対して \(\displaystyle \frac{a+b}{2} \ge \sqrt{ab}\) (等号成立: \(a=b\)) が成り立つ.
方べきの定理より \(x^2 = ab\) だから \(x = \sqrt{ab}\) である.
円周角の定理より \(\rm \angle PAC = \angle PDB, \, \angle PCA = \angle PBD\) が成り立ち、2組の角がそれぞれ等しいため \(\rm \triangle PAC \backsim \triangle PDB\) である.
このことより \(\rm PA : PD = PC : PB\) であり、\(\rm PA \times PB = PC \times PD\) が成り立つ.
三角不等式 #
$$ |x| - |y| \le | x + y | \le |x| + |y| $$
-
\(|x| + |y| \ge |x+y|\)
$$ \newcommand\ntsize[1]{{\footnotesize #1}} \begin{align*} (\ntsize{\textsf{左辺}})^2 - (\ntsize{\textsf{右辺}})^2 &= (|x| + |y|)^2 - |x+y|^2 \\ &= (|x| + |y|)^2 - (x+y)^2 \\ &= |x|^2 + 2|x||y| + |y|^2 - (x+y)^2 \\ &= x^2 + 2|xy| + y^2 - (x^2 + 2xy + y^2) \\ &= 2(|xy| - xy) \ge 0 \\ (\ntsize{\textsf{左辺}})^2 &\ge (\ntsize{\textsf{右辺}})^2 \end{align*} $$両辺 \(\ge 0\) であることより従う.
-
\(|x+y| \ge |x| - |y|\)
\(|x| + |y| \ge |x+y|\) が成り立つことより
$$ \begin{align*} |x+y| + |-y| &\ge |(x+y) + (-y)| \\ |x+y| + |y| &\ge |x| \\ |x+y| &\ge |x| - |y| \end{align*} $$
ド・モルガンの法則 #
$$ \begin{align*} \overline{A \cap B} &= \overline{A} \cup \overline{B} \\ \overline{A \cup B} &= \overline{A} \cap \overline{B} \end{align*} $$包除原理 #
有限個の要素を含む集合を有限集合、無限個の要素を含む集合を無限集合という.\(A\) が有限集合のとき、\(A\) の要素数を \(|A|\) で表す.
有限集合 \(A, B\) の要素の個数について
$$ \begin{align*} | A \cup B | &= | A - B | + | A \cap B | + | B - A | \\ &= (| A - B | + | A \cap B |) + (| B - A | + | A \cap B |) - | A \cap B | \\ &= |A| + |B| - | A \cap B | \end{align*} $$命題 #
命題 \(p \xRightarrow{} q\) について、「\(q \xRightarrow{} p\)」を逆、「\(\overline{p} \xRightarrow{} \overline{q}\)」を裏、「\(\overline{q} \xRightarrow{} \overline{p}\)」を対偶という.
命題 \(\underset{\textsf{十}}{p} \xRightarrow{} \underset{\textsf{要}}{q}\) が真であるとき、\(q\) は \(p\) であるための必要条件であるといい、\(p\) は \(q\) であるための十分条件であるという.
「\(p \xRightarrow{} q\)」と「\(p \xLeftarrow{} q\)」がともに真であるとき、「\(p \xLeftrightarrow{} q\)」とかき、\(q\) は \(p\) (\(p\) は \(q\)) であるための必要十分条件 (同値) であるという.
\(x,y,a,b \in \R\) とする.
- \(x^2 = 4\) は \(x = 2\) であるための必要条件 (\(\xLeftarrow{}\))
- \(ab=0\) は \(a^2 + b^2 = 0\) であるための必要条件 (\(\xLeftarrow{}\))
- 「\(x \ne 0 \land y \ne 0\)」は \(xy\ne0\) であるための必要十分条件 (\(\xLeftrightarrow{}\))
- \(|x| < 1\) は \(x < 1\) であるための十分条件 (\(\xRightarrow{}\))
- 中卒の資格を持っていることは高専生であるための必要条件 (\(\xLeftarrow{}\))
- 高専生であることは中卒の資格を持っているための十分条件 (\(\xRightarrow{}\))
条件 \(p\) を満たす集合を \(P\)、\(q\) を満たす条件を \(Q\) とすると
$$ (p \xRightarrow{} q) \; \xLeftrightarrow{} \; (P \subset Q) \; \xLeftrightarrow{} \; (\overline{Q} \subset \overline{P}) \; \xLeftrightarrow{} \; (\overline{q} \xRightarrow{} \overline{p}) $$より、もとの命題とその対偶は真偽が一致する.
命題が成り立たない例を反例という.
対数 #
-
積の対数 \(=\) 対数の和
$$ \log_a MN = \log_a M + \log_a N $$$$ \begin{align*} MN &= a^{\log_a M} a^{\log_a N} = a^{\log_a M + \log_a N} \\ \log_a MN &= \log_a a^{\log_a M + \log_a N} = \log_a M + \log_a N \end{align*} $$ -
商の対数 \(=\) 対数の差
$$ \log_a \frac{M}{N} = \log_a M - \log_a N $$$$ \begin{align*} \frac{M}{N} &= \frac{a^{\log_a M}}{a^{\log_a N}} = a^{\log_a M - \log_a N} \\ \log_a \frac{M}{N} &= \log_a a^{\log_a M - \log_a N} = \log_a M - \log_a N \end{align*} $$ -
\(p\) 乗の対数 \(=\) 対数の \(p\) 倍
$$ \log_a M^p = p \log_a M $$$$ \begin{align*} M^p &= (a^{\log_a M})^p = a^{p\log_a M} \\ \log_a M^p &= \log_a a^{p\log_a M} = p\log_a M \end{align*} $$ -
底の変換
$$ \log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a} $$$$ \begin{align*} \log_a b \log_c a &= \log_c a^{\log_a b} = \log_c b \\ \log_a b &= \frac{\log_c b}{\log_c a} \end{align*} $$
\(10\) を底とする対数を常用対数という.
$$ \begin{align*} \log_{10} 5^{20} &= 20 \log_{10} 5 = 20 \log_{10} \frac{10}{2} = 20 ( \log_{10} 10 - \log_{10} 2 ) \\ &= 20 ( 1 - 0.3010 ) = 20 \cdot 0.6990 = 13.98 \\ 5^{20} &= 10^{13.98} = 10^{0.98} \cdot 10^{13} \end{align*} $$\(5^{20}\) の桁数と最高位の数を求めよ.ただし \(\log_{10} 2 = 0.3010, \, \log_{10} 3 = 0.4771\) とする.
ここで
$$ \log_{10} 9 = 2\log_{10} 3 = 2 \cdot 0.3010 = 0.6020 < 0.98 = \log_{10} 10^{0.98} < \log_{10} 10 $$より \(10^{0.98}\) の整数部分は \(9\) である.
以上より桁数は \(14\)、最高位の数は \(9\) である.
三角関数 #
正弦定理 #
\(\triangle \rm ABC\) の外接円の半径を \(R\) とする.
$$ \frac{a}{\sin A} = 2R $$-
\(A < \pi/2\)
-
\(A = \pi / 2\)
-
\(A > \pi / 2\)
余弦定理 #
$$ a^2 = b^2 + c^2 - 2bc \cos A $$\(\rm C\) から \(\rm AB\) に垂線 \(\rm CH\) を下ろす.
-
\(\rm H\) が線分 \(\rm AB\) 上
-
\(\rm H\) が半直線 \(\rm AB\) 上
-
\(\rm H\) が半直線 \(\rm BA\) 上
弧度法 #
radian とは、円周上でその円の半径と同じ長さの弧を切り取る2本の半径が成す角の値である.
半径 \(1\)、中心角 \(\def\unit#1{\,\mathrm{\scriptsize [{#1}]}} \theta \unit{rad}\) の扇形の弧の長さは \(\theta\) である.
半径 \(r\)、中心角 \(\def\unit#1{\,\mathrm{\scriptsize [{#1}]}} \theta \unit{rad}\) の扇形の弧の長さは \(r\theta\) である.
加法定理 #
$$ \begin{align*} \sin(\alpha\pm\beta) &= \sin\alpha\cos\beta \pm \cos\alpha\sin\beta \\ \cos(\alpha\pm\beta) &= \cos\alpha\cos\beta \mp \sin\alpha\sin\beta \end{align*} $$
\({\rm A}(\cos\alpha, \sin\alpha), \, {\rm B}(\cos\beta, \, \sin\beta)\) とおくと
$$ \begin{align*} {\rm AB}^2 &= (\cos\alpha - \cos\beta)^2 + (\sin\alpha - \sin\beta)^2 \\ &= \cos^2\alpha - 2\cos\alpha\cos\beta + \cos^2\beta + \sin^2\alpha - 2\sin\alpha\sin\beta + \sin^2\beta \\ &= 2 - 2(\cos\alpha\cos\beta + \sin\alpha\sin\beta) \end{align*} $$一方で余弦定理より
$$ \begin{align*} {\rm AB}^2 &= {\rm OA}^2 + {\rm OB}^2 - 2 \cdot{\rm OA}\cdot{\rm OB} \cdot \cos(\alpha - \beta) \\ &= 1^2 + 1^2 - 2 \cdot 1 \cdot 1 \cdot \cos(\alpha - \beta) \\ &= 2 - 2\cos(\alpha - \beta) \end{align*} $$以上より
$$ \cos(\alpha - \beta) = \cos\alpha\cos\beta + \sin\alpha\sin\beta $$上式より
$$ \begin{align*} \cos(\alpha + \beta) &= \cos(\alpha - (-\beta)) \\ &= \cos\alpha\cos(-\beta) + \sin\alpha\sin(-\beta) \\ &= \cos\alpha\cos\beta - \sin\alpha\sin\beta \\ \sin(\alpha - \beta) &= \cos\!\left( (\alpha - \beta) - \frac{\pi}{2} \right) \\ &= \cos\!\left( \alpha - \left(\beta + \frac{\pi}{2}\right) \right) \\ &= \cos\alpha\cos\!\left(\beta + \frac{\pi}{2}\right) + \sin\alpha\sin\!\left(\beta + \frac{\pi}{2}\right) \\ &= \cos\alpha(-\sin\beta) + \sin\alpha\cos\beta \\ &= \sin\alpha\cos\beta - \cos\alpha\sin\beta \\ \sin(\alpha + \beta) &= \sin(\alpha - (-\beta)) \\ &= \sin\alpha\cos(-\beta) - \cos\alpha\sin(-\beta) \\ &= \sin\alpha\cos\beta + \cos\alpha\sin\beta \end{align*} $$半角の公式 #
$$ \begin{align*} \cos^2\frac{x}{2} &= \frac{1 + \cos x}{2} \\ \sin^2\frac{x}{2} &= \frac{1 - \cos x}{2} \end{align*} $$三角関数の合成 #
$$ \begin{align*} a\sin x + b\cos x &= \sqrt{a^2 + b^2} \left( \frac{a}{\sqrt{a^2 + b^2}} \sin x + \frac{b}{\sqrt{a^2 + b^2}} \cos x \right) \\ &= \sqrt{a^2 + b^2} \sin \!\left( x + \operatorname{atan2}\left(\frac{b}{\sqrt{a^2 + b^2}}, \frac{a}{\sqrt{a^2 + b^2}}\right)\right) \end{align*} $$ただし \(\operatorname{atan2}(y,x) = \arg (x + iy) \in (-\pi, \pi]\) である.
積和公式 #
$$ \begin{align*} \sin\alpha\cos\beta &= \frac{1}{2}\{ \sin(\alpha + \beta) + \sin(\alpha - \beta) \} \\ \cos\alpha\sin\beta &= \frac{1}{2}\{ \sin(\alpha + \beta) - \sin(\alpha - \beta) \} \\ \cos\alpha\cos\beta &= \frac{1}{2}\{ \cos(\alpha + \beta) + \cos(\alpha - \beta) \} \\ \sin\alpha\sin\beta &= -\frac{1}{2}\{ \cos(\alpha + \beta) - \cos(\alpha - \beta) \} \end{align*} $$和積公式 #
$$ \begin{align*} \sin A + \sin B &= 2\sin\frac{A+B}{2} \cos\frac{A-B}{2} \\ \sin A - \sin B &= 2\cos\frac{A+B}{2} \sin\frac{A-B}{2} \\ \cos A + \cos B &= 2\cos\frac{A+B}{2} \cos\frac{A-B}{2} \\ \cos A - \cos B &= -2\sin\frac{A+B}{2} \sin\frac{A-B}{2} \\ \end{align*} $$辺々足して
$$ \sin(\alpha + \beta) + \sin(\alpha - \beta) = 2\sin\alpha\cos\beta $$\(A \coloneqq \alpha + \beta, \, B \coloneqq \alpha - \beta\) とすると \(\displaystyle \alpha = \frac{A+B}{2}, \, \beta = \frac{A-B}{2}\) であるから
$$ \sin A + \sin B = 2\sin\frac{A+B}{2} \cos\frac{A-B}{2} $$その他も同様.
図形と式 #
楕円 #
2点からの距離の和が一定である点の軌跡を楕円という.この2点を焦点という.
$$ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1 $$横長 (\( a > b \)) | 縦長 (\( a < b \)) | |
---|---|---|
長径 | \(2a\) | \(2b\) |
短径 | \(2b\) | \(2a\) |
焦点 | \((\pm c,0) \; (a^2 = b^2 + c^2)\) | \((0,\pm c) \; (b^2 = a^2 + c^2)\) |
距離の和 | \(2a\) | \(2b\) |
横長の場合のみ考える.
焦点を \({\rm F}(c,0), \, {\rm F}^\prime(-c,0)\) とおく.\({\rm FP} + {\rm F^\prime P} = 2a \; (a>c)\) である点 \({\rm P}(x,y)\) の軌跡は
$$ \begin{align*} {\rm FP} + {\rm F^\prime P} &= 2a \\ {\rm FP} &= 2a - {\rm F^\prime P} \\ {\rm FP}^2 &= 4a^2 - 4a \cdot {\rm F^\prime P} + {\rm F^\prime P}^2 \\ (x-c)^2 + y^2 &= 4a^2 - 4a \sqrt{(x+c)^2 + y^2} + (x+c)^2 + y^2 \\ -2cx &= 4a^2 - 4a \sqrt{(x+c)^2 + y^2} + 2cx \\ 4a \sqrt{(x+c)^2 + y^2} &= 4a^2 + 4cx \\ \sqrt{(x+c)^2 + y^2} &= a + \frac{cx}{a} \\ x^2 + 2cx + c^2 + y^2 &= a^2 + 2cx + \frac{c^2x^2}{a^2} \\ \left( 1 - \frac{c^2}{a^2} \right)x^2 + y^2 &= a^2 - c^2 \\ \frac{a^2 - c^2}{a^2} x^2 + y^2 &= a^2 - c^2 \\ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{a^2 - c^2} &= 1 \\ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} &= 1 \qquad\qquad b \coloneqq \sqrt{a^2 - c^2} \; \because \; a>c \end{align*} $$\(\rm P\) が \(x\) 軸上にあるときを考えると、\(\rm FP\) と \(\rm F^\prime P\) の重なりに注意して、軌跡と \(x\) 軸の交点が \(x = \pm a\) であることが分かる.
\(\rm P\) が \(y\) 軸上にあるときを考えると、軌跡と \(y\) 軸の交点を \(y = \pm b\) とすると \(a^2 = b^2 + c^2\) が成り立っていることが分かる.
双曲線 #
2点からの距離の差が一定である点の軌跡を楕円という.
$$ \newcommand\ntsize[1]{{\footnotesize #1}} \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} = \begin{cases} 1 &(\ntsize{\textsf{左右}}) \\ -1 &(\ntsize{\textsf{上下}}) \end{cases} $$左右 | 上下 | |
---|---|---|
焦点 | \((\pm c,0)\) | \((0, \pm c)\) |
距離の差 | \(2a\) | \(2b\) |
左右に現れる場合のみ考える.
焦点を \({\rm F}(c,0), \, {\rm F}^\prime(-c,0)\) とおく.\(|{\rm FP} - {\rm F^\prime P}| = 2a (< {\rm FF^\prime}) \; (c>a)\) である点 \({\rm P}(x,y)\) の軌跡は
$$ \begin{align*} |{\rm FP} - {\rm F^\prime P}| &= 2a \\ {\rm FP} - {\rm F^\prime P} &= \pm 2a \\ {\rm FP} &= \pm 2a + {\rm F^\prime P} \\ {\rm FP}^2 &= 4a^2 \pm 4a \cdot {\rm F^\prime P} + {\rm F^\prime P}^2 \\ (x-c)^2 + y^2 &= 4a^2 \pm 4a\sqrt{(x+c)^2 + y^2} + (x+c)^2 + y^2 \\ -2cx &= 4a^2 \pm 4a\sqrt{(x+c)^2 + y^2} + 2cx \\ \mp 4a\sqrt{(x+c)^2 + y^2} &= 4a^2 + 4cx \\ \mp\sqrt{(x+c)^2 + y^2} &= a + \frac{cx}{a} \\ x^2 + 2cx + c^2 + y^2 &= a^2 + 2cx + \frac{c^2x^2}{a^2} \\ \left( 1 - \frac{c^2}{a^2} \right)x^2 + y^2 &= a^2 - c^2 \\ \frac{a^2 - c^2}{a^2} x^2 + y^2 &= a^2 - c^2 \\ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{a^2 - c^2} &= 1 \\ \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} &= 1 \qquad\qquad b \coloneqq \sqrt{c^2 - a^2} \; \because \; c > a \end{align*} $$放物線 #
直線とその直線上にない点からの距離が等しい点の軌跡を放物線という.この直線を準線、及び準線上にない点を焦点という.
$$ \newcommand\ntsize[1]{{\footnotesize #1}} \left\{\begin{align*} y^2 &= 4px &&(\ntsize{\textsf{左右}}) \\ x^2 &= 4py &&(\ntsize{\textsf{上下}}) \end{align*}\right. $$左右 | 上下 | |
---|---|---|
焦点 | \((p,0)\) | \((0, p)\) |
準線 | \(x=-p\) | \(y=-p\) |
対称 | \(x\) 軸対称 | \(y\) 軸対称 |
左右に現れる場合のみ考える.
焦点を \({\rm F}(p,0)\) とおく.\(\rm F\) と準線の距離を \(2p\) とすると、準線は \(x = -p\) となる.準線と焦点からの距離が等しい点 \({\rm P}(x,y)\) から準線に垂線 \(\rm PH\) を下ろす.\(\rm P\) の軌跡は
$$ \begin{align*} \rm PF &= \rm PH \\ {\rm PF}^2 &= {\rm PH}^2 \\ (x - p)^2 + y^2 &= (x + p)^2 \\ -2px + y^2 &= 2px \\ y^2 &= 4px \end{align*} $$場合の数 #
和の法則 #
事柄 \(A, B\) は同時には起こらないものとする.事柄 \(A\) の起こり方が \(m\) 通り、事柄 \(B\) の起こり方が \(n\) 通りあるとき、\(A\) または \(B\) のどちらかが起こる場合は \(m + n\) 通りである.
積の法則 #
事柄 \(A\) の起こり方が \(m\) 通りあり、そのそれぞれの場合について事柄 \(B\) の起こり方が \(n\) 通りあるとき、\(A\) と \(B\) がともに起こる場合は \(mn\) 通りである.
都市 \(\rm A, B, C, D\) が図のように道路で結ばれているとする.\(\rm A\) から \(\rm D\) への径路は何通りあるか.ただし1度通った都市には戻らないものとする.
\(\rm A \xrightarrow{} B \xrightarrow{} D\) は \(3 \cdot 2 = 6\) 通り.
\(\rm A \xrightarrow{} C \xrightarrow{} D\) は \(1 \cdot 2 = 2\) 通り.
これらの進み方は同時には起こらないから \(6 + 2 = 8\) 通り.
順列 #
相異なる \(n\) 個のものから \(r\) 個のものを取り出し、順序をつけて1列に並べたものを順列 (permutation) といい、その総数を \({}_n \mathrm{P}_r\) と表す.
\(1\) 番目は \(n\) 通り、\(2\) 番目は \(n-1\) 通り、\(\cdots\)、\(r\) 番目は \(n - (r - 1)\) 通りの選び方がある.積の法則より
$$ \begin{align*} {}_n \mathrm{P}_r &= n(n-1) \cdots (n-r+1) \\ &= n(n-1) \cdots (n-r+1) \frac{(n-r)!}{(n-r)!} \\ &= \frac{n(n-1) \cdots (n-r+1) \cdots 2 \cdot 1}{(n-r)!} \\ &= \frac{n!}{(n-r)!} \end{align*} $$組合せ #
相異なる \(n\) 個のものから \(r\) 個のものを取り出し、順序を考えずに1組としたものを組合せ (combination) といい、その総数を \({}_n \mathrm{C}_r\) と表す.
$$ {}_n \mathrm{C}_r = \frac{{}_n \mathrm{P}_r}{r!} = \frac{n!}{r!(n-r)!} $$二項定理 #
\({}_n \mathrm{C}_r\) を二項係数 \(\displaystyle \binom{n}{r}\) とも表す.
$$ (a + b)^n = \sum_{k=0}^n \binom{n}{k} a^{n-k} b^k $$二項係数 #
二項係数を並べるとパスカルの三角形が構成される.
\begin{tikzpicture}
\foreach \n in {0,...,5} {
\foreach \k in {0,...,\n} {
\node at (\k-\n/2,-\n) {\directlua{
function binom(n,k)
x = 1
for y = n-k+1, n do x = x * y end
for y = 1, k do x = x / y end
return math.floor(x)
end
tex.print(binom(\n, \k))}
};
}
}
\end{tikzpicture}
左右対称になっている.
$$ \binom{n}{r} = \frac{n!}{r!(n-r)!} = \frac{n!}{(n-r)!\{n-(n-r)\}!} = \binom{n}{n-r} $$各要素はその上にある2つの要素の和に等しい.
$$ \binom{n-1}{r-1} + \binom{n-1}{r} = \binom{n}{r} $$また、\(n\) と \(r\) が互いに素であるとき \(\displaystyle \binom{n}{r}\) が \(n\) の倍数になる.
$$ \begin{align*} \binom{n}{r} &= \frac{n!}{r!(n-r)!} \\ &= \frac{n}{r}\frac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!} \\ &= \frac{n}{r}\frac{(n-1)!}{(r-1)!\{(n-1)-(r-1)\}!} \\ &= \frac{n}{r} \binom{n-1}{r-1} \end{align*} $$複素数 #
共役複素数 #
\(z = a + ib\) について \(\overline{z} = a - ib\) を共役複素数という.
$$ \begin{align*} \overline{z \pm w} &= \overline{z} \pm \overline{w} \\ \overline{zw} &= \overline{z} \cdot \overline{w} \\ \overline{\left(\frac{z}{w}\right)} &= \frac{\overline{z}}{\overline{w}} \\ z\overline{z} &= |z|^2 \end{align*} $$極形式 #
\(z\) を複素平面上に表したときの実軸との角度を偏角といい、\(\arg z\) で表す.
\(z\) の絶対値を \(r\)、偏角を \(\theta\) とすると、\(z\) の極形式は
$$ z = r(\cos\theta + i\sin\theta) $$
ド・モアブルの定理 #
整数 \(n\) に対して
$$ (\cos\theta + i\sin\theta)^n = \cos n\theta + i \sin n\theta $$n乗根 #
\(z^n = \alpha\) の解を \(\alpha\) の \(n\) 乗根という.\(n\) 個存在する.
\(\alpha\) の \(n\) 乗根を \(z_k \; (k = 0, 1, \dots, n-1)\)、\(\arg \alpha = \theta \; (0 \le \theta < 2\pi)\) とすると
$$ z_k = \sqrt[n]{|\alpha|} \left( \cos \frac{\theta + 2k\pi}{n} + i \sin \frac{\theta + 2k\pi}{n}\right) $$と表すことができ、原点を中心とする半径 \(\sqrt[n]{|\alpha|}\) の円周を \(n\) 等分する.